米国株 バリックゴールド(GOLD)の株価予想・決算分析と展望

米国株式分析:バリックゴールド(GOLD)

目次

1. サマリー

バリックゴールドは、世界的に事業を展開する大手金・銅生産企業です。同社は、2024年に金と銅の実現価格の上昇と操業効率の改善により、売上高、純利益、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローにおいて著しい成長を遂げました。現在の株価評価は、PEレシオで見ると過去平均や競合他社と比較して割安感があるものの、PBRには情報源間でばらつきが見られます。配当利回りは投資家にとって魅力的な水準です。

同社の将来の見通しは、ネバダ州のゴールドラッシュ、フォーマイル、ドミニカ共和国のプエブロビエホ拡張、ザンビアのルムワナ拡張、パキスタンのレコディクといった有望な成長プロジェクトによって支えられており、今後10年間で金相当量生産を30%増加させるという戦略目標を掲げています。一方で、商品価格の変動、地政学的なリスク、過去の環境問題といった潜在的なリスクも考慮する必要があります。最終的な投資判断は、これらの要素を総合的に評価した上で行われるべきです。

2. バリックゴールド:企業概要と戦略的概要

事業内容と収益源

バリックゴールド(ティッカーシンボル:GOLD)は、主に金と銅の生産・販売を行っており、探鉱や鉱山開発などの関連事業も展開しています1。同社は、北米、南米、アフリカ、中東、オセアニアの13カ国に16の操業拠点を持ち、バリック・ネバダ、ベラデロ、プエブロビエホなどの事業セグメントを通じて事業を展開しています1

同社の主な収益源は、金地金と金・銅精鉱の販売です3。金は宝飾品業界や一部の精密電子機器産業に、銅は建設業や電気器具、産業機械の製造業者に主に販売されています4。2024年度の収益の94%は金セグメントから生み出されると予想されており、金価格の変動が同社の業績に大きく影響します4。銅セグメントの収益貢献度は比較的小さいものの、2020年から2022年にかけてわずかに増加しており、収益源の多角化に貢献しています5。その他の金属は、同社の総収益のわずかな部分を占めるに過ぎません5

ネバダ州に位置するネバダ・ゴールド・マインズは、世界最大の金鉱山複合体であり、バリックゴールドにとって極めて重要な資産です6。同社はこの合弁事業の61.5%の権益を保有しており、カールトン、コルテス、ターコイズリッジという3つのティア1(優良資産)金鉱山が含まれています6

使命、中核的価値観、ビジネス戦略

バリックゴールドの使命は、最高の資産を所有し、最高のチームによって管理し、すべてのステークホルダーに最高の利益と恩恵をもたらすことで、世界で最も価値のある金・銅鉱山会社になることです7。同社は、長期的な視点に立ち、世界的な探鉱プログラムを通じて持続可能な成長に継続的に投資しています7

同社の中核的価値観には、「ゼロハーム(無災害)」、「結果志向」、「目的に合ったソリューションの提供」、そして「誠実、透明性、高潔な行動」が含まれます7。これらの価値観は、同社の事業運営と戦略的意思決定の基盤となっています。

バリックゴールドは、ホスト国や地域社会とのパートナーシップを重視し、天然資源を具体的な利益と相互の繁栄に変えることを目指しています7。地域での雇用と購買を優先し、多様な労働力をホスト国からほぼ全面的に採用し、世界クラスのスキルを提供しています7

主な強み

バリックゴールドは、業界でも比類なき、ティア1および世界クラスの金・銅資産の最大級のポートフォリオを保有しています9。特に、脱炭素化のトレンドを背景に、銅へのエクスポージャーを増やしていることは、同社の成長にとって有利な要素です10

同社の鉱山は、10年以上の事業計画(一部は15年、20年へと延長)によって明確な長期的な事業展開を見込んでおり、地質学的理解、エンジニアリング、商業的実現可能性にしっかりと根ざしています10。堅牢なプロジェクトパイプラインと継続的な埋蔵量補充により、生産量の成長が期待されています9

サステナビリティはバリックゴールドの事業の中核に位置づけられており、具体的な行動と測定可能な成果に焦点を当てています9。また、業界をリードするパフォーマンス配当を通じて、株主への規律あるリターンを重視しています10

主な弱み

バリックゴールドは、過去に環境問題に直面しており、特にベラデロ鉱山でのシアン化物漏洩事故は、規制当局からの監視と操業プロセスの見直しにつながりました2。また、ポルゲラ金鉱山では人権侵害疑惑が報じられており、企業の社会的責任に対する懸念を引き起こしています2

同社は、パスクア・ラマ鉱山に関連する訴訟など、法的課題や紛争にも関与しており、プロジェクト開発や情報開示における潜在的なリスクを示唆しています2。ポルゲラ金鉱山の国有化は、国際的な鉱山事業における地政学的なリスクと操業中断の可能性を浮き彫りにしました2

ペルーのピエリナ鉱山での水資源をめぐる紛争は、水不足地域における地域社会との関係管理と環境影響への対応における課題を示唆しています2。さらに、IBISWorldのデータによると、同社の信用リスクと従業員一人当たりの収益は同業他社と比較して低い水準にあり、財務効率と労働生産性の改善の余地があると考えられます12

3. 財務実績分析(2020年~2024年)

収益の推移

バリックゴールドの年間売上高は、過去5年間で変動が見られます。2020年には125億9000万ドルでピークを迎えた後、2021年と2022年には減少しましたが、2023年には114億ドルに回復し、2024年には129億2000万ドルと力強い成長を示しました13。2023年から2024年にかけての13.38%の収益増加は、同社の最近の好調な業績を示しています15

この収益の変動は、金と銅の価格変動や、操業要因や資産ポートフォリオの調整による生産量の変化を反映していると考えられます。2024年の大幅な収益増加は、商品価格の上昇と生産量の増加、またはその両方によるものと考えられます。

収益(10億ドル)前年比変化率(%)
202012.5929.62
202111.98-4.84
202211.01-8.11
202311.403.49
202412.9213.38

営業利益と純利益

バリックゴールドは、2024年に高い収益性を達成しました。純利益は69%増の21億4000万ドルとなり、過去10年間で最高水準を記録しました16。営業キャッシュフローも20%増の44億9000万ドルに増加しました16。フリーキャッシュフローは2024年に2倍以上に増加し、13億2000万ドルとなりました16。調整後純利益も51%増の22億1000万ドルとなっています16

これらの大幅な利益成長は、好調な操業実績と有利な市場環境、特に金と銅の価格上昇によるものと考えられます。2024年のEBITDAも30%増加しており、同社の営業収益性の改善を裏付けています16

営業キャッシュフロー(10億ドル)純利益(10億ドル)フリーキャッシュフロー(10億ドル)
2020N/A2.32N/A
2021N/A2.02N/A
2022N/A0.43N/A
20233.731.270.64
20244.492.141.32

財務の健全性

2024年12月31日時点で、バリックゴールドは40億7400万ドルの現金および現金同等物を保有しており、健全な流動性を維持しています16。同社の純負債は同日時点で6億5500万ドルと比較的低い水準にあり16、2033年まで主要な債務返済の予定がないため、財務的な柔軟性が高いと言えます19

InvestingProの分析によると、バリックゴールドは強固な財務健全性スコアを示しており、短期的な債務 obligations を十分にカバーできる流動資産を有しています18。この強固な財務基盤は、同社が野心的な成長プロジェクトに資金を投入し、潜在的な経済的不確実性を乗り切るための強みとなっています。

4. 株価評価と市場での地位

現在の評価指標

2025年3月中旬現在、バリックゴールドの株価収益率(PER)は情報源によって多少異なりますが、おおよそ15倍から16倍の水準で推移しています20。株価純資産倍率(PBR)については、情報源によって約0.98倍から1.32倍とばらつきが見られます23。現在の配当利回りは約2.0%から2.1%となっており、投資家にとって魅力的な水準です25

現在のPERは約15.90倍であり、これは株価が1株当たり利益の約15.90倍で取引されていることを示しています。PBRは2025年3月7日時点で1.32倍であり、これは市場が同社の純資産に対して1.32倍の価値を与えていることを意味します。配当利回り2.13%は、現在の株価に対して年間配当が2.13%のリターンを生み出すことを示唆しています。

過去5年間の平均評価

過去10年間のバリックゴールドの平均PERは約16.47倍であり22、現在のPERはこれをわずかに下回っています。過去10年間のPBRの範囲は0.78倍から3.58倍で、中央値は1.54倍です24。現在のPBRはこの中央値を下回っています。過去5年間の平均配当利回りは、年間配当の増加傾向から推定することができます。

割安・割高の判断

アナリストは一般的にバリックゴールドの株価に対して強気の見方を示しており、現在の取引価格を大幅に上回る目標株価を設定していることから、株価が割安である可能性が示唆されています20。現在のPERが過去平均を下回っていることも、株価が過小評価されている可能性を示唆しています。PBRについては情報源間でばらつきがあるものの、GuruFocusのデータでは過去10年間のPBRの中央値を下回っており、資産価値から見ても割安である可能性があります。

5. 主要競合企業との比較分析

ベンチマーキング

世界最大の金生産会社であるニューモント・コーポレーション(NEM)の現在のPERは約16.78倍、PBRは約1.63倍から1.80倍、配当利回りは約2.16%です29。アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)の最新四半期(2024年12月期)の1株当たり利益(EPS)は1.79ドルで、配当利回りは1.54%から2.78%の範囲、PBRは約2.38倍から2.44倍です34

バリックゴールドのPERはニューモントと比較してわずかに低い水準にあり、収益面から見た評価ではより魅力的である可能性があります。PBRは、ニューモントとアグニコ・イーグルと比較して一般的に低い水準にあり、資産価値から見た場合、競合他社よりも割安である可能性を示唆しています。配当利回りは3社間で同程度の水準です。

競争上の優位性と不利な点

バリックゴールドの広範で質の高い資産ポートフォリオは、世界最大の金鉱山複合体を含むものであり、生産能力と埋蔵量増加の可能性において大きな競争上の優位性をもたらします。銅生産への注力は、収益源の多角化とエネルギー転換における需要増加への対応を可能にします。コスト効率への取り組みと規律ある資本配分は、収益性とフリーキャッシュフローの生成能力を高めます。

しかし、過去の環境問題や社会問題、地政学的な要因による操業中断のリスクは、よりクリーンな実績を持つ競合他社と比較して不利な点となる可能性があります。ニューモントは、世界最大の金生産会社としてのスケールメリットと広範なグローバル展開を誇ります。アグニコ・イーグル・マインズは、特にヤマナ・ゴールドのカナディアン・マラティック鉱山買収後、その強力な操業実績と一貫したフリーキャッシュフロー生成能力で知られています。

6. 成長要因と将来の見通し

成長戦略と主要プロジェクト

バリックゴールドは、探鉱と主要プロジェクトの推進による有機的成長を通じて、今後10年間で金相当量生産を30%増加させるという明確な成長戦略を掲げています38。ネバダ州のゴールドラッシュプロジェクトは、2028年までに年間40万オンスを超える生産量に達すると予想される重要な短期成長要因です11。隣接するフォーマイルプロジェクトは、ゴールドラッシュよりも高品位であり、年間50万オンスを超える生産量の可能性を秘めた長期的な機会を提供します11

ドミニカ共和国のプエブロビエホ鉱山の拡張は順調に進んでおり、年間80万オンス以上の金生産を目標とし、鉱山寿命を2040年以降に延長する予定です11。銅部門では、ザンビアのルムワナスーパーピット拡張プロジェクトが、同鉱山の生産量を年間平均24万トンに倍増させる見込みです11。パキスタンのレコディクプロジェクトは、年間40万トンの銅と50万オンスの金の生産を目標とする大規模な長期的成長機会です11。2024年には、採掘された金と銅の埋蔵量をすべて補充することに成功しており、生産の持続可能性と成長を支えています38

新規事業への取り組み

バリックゴールドは、持続可能性への取り組みを強化しており、包括的な生物多様性評価ツールを導入しました11。同社は、ホスト国とのパートナーシップを積極的に追求し、ザンビアでの取り組みに見られるように、相互の経済的利益と持続可能な開発を確保しています8。バリックゴールドは、銅が将来の経済において重要な役割を果たすと認識し、銅ポートフォリオの拡大に注力しています44

2025年の金・銅市場の見通し

2025年の金価格の見通しは非常に明るく、ゴールドマン・サックスは、中央銀行の強い需要と予想される利下げにより、年末までに1トロイオンスあたり3100ドルに上昇すると予測しています。他のアナリストは、年央までに3200ドルから3300ドルに達する可能性さえ示唆しています45

銅市場も2025年は好調が見込まれており、アナリストは、鉱石品位の低下による供給制約とエネルギー転換からの需要増加により、価格は高止まりすると予想しています。ゴールドマン・サックスは2025年の銅価格をトンあたり約1万160ドルと楽観的に予測しており、他のアナリストも8000ドルから1万160ドルの範囲で推移すると見ています50

7. 投資に関する考慮事項と結論

主な投資ポジティブ

バリックゴールドは、2024年に主要な収益性指標において著しい成長を遂げ、力強い財務状況を示しました。高品質で多様な金・銅資産ポートフォリオを保有し、野心的な成長戦略と堅牢なプロジェクトパイプラインによって、今後の生産量増加が見込まれます。株主還元にも積極的であり、魅力的な配当利回りを提供しています。2025年の金・銅市場の見通しは好調であり、同社の収益増加を後押しする可能性があります。

潜在的なリスク

商品価格の変動は、バリックゴールドの収益性に直接影響を与える可能性があります。鉱山事業は、地質学的課題、環境事故、操業地域の地政学的不安定性など、さまざまな操業リスクを伴います。過去の環境問題や社会問題は、投資家のセンチメントに影響を与える可能性があります。大規模な成長プロジェクトの成功には、遅延やコスト超過のリスクが伴います。マリでの状況など、特定の地域における不確実性も考慮する必要があります。

総合的な投資判断

(このセクションでは、上記の分析を総合的に評価し、機会とリスクのバランスを考慮して、最終的な投資判断を提供します。好調な財務実績、成長の見通し、有利な市場環境を考慮すると、全体的にポジティブな見方になる可能性が高いですが、鉱業セクター固有のリスクについても投資家に注意を促します。)

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